歯周病治療
歯周病について

歯周病は「痛みが少ないまま進む」ことが多く、気づいたときには歯を支える骨が減っているケースが多いです。
そのまま放置してしまうと歯を抜かなければいけない可能性も高く、2018年に全国2,345の歯科医院で行われた全国抜歯原因調査結果では、歯が失われる原因で最も多かったのが「歯周病」(37%)という結果が出ています。
正確な検査→原因除去→必要なら外科治療を行うことで歯を残せる可能性を高められます。
- 歯磨きで血が出る(毎回/最近増えた)
- 口臭が気になる・指摘された
- 歯ぐきが腫れる/ムズムズする
- 歯が長く見える(歯ぐきが下がった)
- 歯がグラつく/噛むと違和感
- 歯と歯の間に物が詰まりやすい
- 朝起きたとき口がネバつく
などの症状がある方は歯周病の可能性があるため、一度検診を受けることをお勧めします。
当院の歯周病治療の特徴

歯周病治療の診療方針
「歯を残すための選択肢」
歯周病はどうしても“抜歯”になりがちですが、残せる可能性・条件・リスクを検査で整理して診断します。
精密歯周病検査で見える化:
ポケット測定・出血・動揺・分岐部などを評価し、現状とゴールを共有します。
再生療法を「適応がある人にだけ」提案(保険/自費)
- 保険:リグロスを用いた再生療法
(適応あり) - 自費:エムドゲイン+骨補填材併用など
(欠損形態・リスクにより検討、適応・限界あり)
※順番を間違えない:再生オペの前に“土台づくり”が重要です。
歯周病は、まず原因(歯石・バイオフィルム・清掃性・力)を減らさないと安定しにくいです。
初期治療→再評価→必要最小限の外科の順を徹底します。
いきなり再生療法のオペをしても効果は期待できません。
マイクロスコープを用いた高倍率視野下での処置
再生オペなど繊細な処置ほど視野が重要になる場面があります。
歯石やプラークの取り残しを防ぎます。
歯周病症状の
段階について
軽度歯周病
- 見た目:歯ぐきが赤い・腫れる、出血しやすい
- 痛み:ほぼないことが多い
- 生活の支障:少ないが、放置すると進行しやすい

中等度歯周病
- 見た目:歯ぐきが下がる/歯が長く見える、
口臭が気になる
ことも - 痛み:しみる・違和感が出ることがある
- 生活の支障:食べ物が詰まりやすい、腫れが
繰り返す

重度歯周病
- 見た目:グラつき、膿(うみ)、歯ぐきの大きな腫れ
- 痛み:痛みがないまま進むことも/急性化で強く痛むことも
- 生活の支障:噛みにくい、腫れで食事がつらい、
歯の長さや歯ぐきの下がりなど見た目の変化がかなり気になる

歯周病・歯肉炎について

歯周病と歯肉炎はどんな病気か
歯周病
炎症が歯ぐきだけでなく、歯を支える骨(歯槽骨)など歯周組織へ及び、骨が減っていく病気です。
歯肉炎
歯ぐき(歯肉)だけに炎症が起きている状態。
原因(プラーク)を減らすと改善が期待できます。
歯周病になる原因とは
- 歯周ポケット内の細菌(バイオフィルム)
- 歯石(細菌の足場)
- 喫煙
- 糖尿病など全身状態
- 口呼吸(乾燥)
- 被せ物の段差・歯並びで磨けない
- 噛み合わせの過大な力
(歯ぎしり・食いしばり)
歯周病になりやすい人とは
- 歯磨きで血が出るのが“いつも”
- 喫煙歴がある
- 糖尿病(血糖コントロールが不安定)
- 家族に歯周病が多い
- 口が乾きやすい/口呼吸
- 定期的な歯科受診が空きがち
歯周病と全身疾患について
歯周病は「お口の炎症」だけではありません。
歯周病(歯周炎)は、歯ぐきの炎症が長く続く病気です。
炎症が強い状態では、歯ぐきから細菌や炎症物質が血流に入りうるため、全身の病気と“関連”が報告されています。
厚生労働省の資料では、歯周病と関連が報告されているものとして、糖尿病、関節リウマチ、脳卒中(脳梗塞等)、狭心症・心筋梗塞などの動脈硬化性疾患、呼吸器疾患、慢性腎臓病、妊娠、内臓脂肪型肥満、喫煙などが挙げられています。
当院では、必要に応じて全身状態を確認し、かかりつけ医(内科など)と連携して安全に治療を進めます
歯周病で抜歯を行った方が
良いケース
- 支える骨が極端に少ない
- 強い動揺で噛めない
- 分岐部病変が重度で管理困難
- 急性化を繰り返し全体治療の妨げになる
歯を抜かずに治療する
メリット・デメリット
メリット:自分の歯で噛める/感覚を保ちやすい
デメリット:治療期間が長くなることがある。
状態によっては最終的に抜歯になる可能性
歯を抜いた場合のメリット・デメリット
メリット:炎症の除去が明確のため痛いなどの症状は早期に改善できる。
治療計画が立てやすいことが多い
デメリット:欠損補綴が必要になる。
治療方法によって費用・期間が変わる
歯周病治療の流れ
精密歯周病検査
- ・歯周ポケット測定(深さ・出血)
- ・動揺度、分岐部病変(奥歯の根分かれ)
- ・レントゲン等で骨の状態確認(必要に応じて)
- ・清掃状態、磨き癖、リスク因子(喫煙・口呼吸など)の整理
検査結果から「どの歯が危ないか」
「残すなら何が必要か」「抜歯ならその理由」を
細かくご説明します。

初期治療(非外科):原因除去を徹底
- ・スケーリング(歯石除去)
- ・SRP(必要に応じ深い部位の処置)
- ・セルフケア最適化(歯間ブラシ・フロスのサイズ選定)

再評価:結果を数字で確認
改善していれば外科を減らせます。
改善が不十分なら残る部位だけ外科治療を検討します。

外科(必要な方のみ)
・フラップ手術
・再生療法(適応がある欠損に限る)
・GTR、骨補填など(欠損形態により検討)

メンテナンス
歯周病は慢性疾患。治療より“維持”が大切です。

歯周病の予防について

歯科医院でできること
- 定期検査(ポケット・出血)
- クリーニング/バイオフィルム管理
- リスクに応じたメンテナンス頻度の最適化
自宅でできること
- 歯ブラシ+フロス/歯間ブラシ
- 禁煙
- 全身管理(該当する方)
歯周病の治療法

スケーリングとは
歯石(細菌の足場)を除去する処置。
歯石は歯ブラシでは落とせないため専用の器具で除去します。
治療で期待できる効果
- 出血、腫れの軽減
- 口臭(歯周由来の場合)の改善につながることがある(個人差があり)
歯周外科治療(フラップ手術)
フラップ手術とは
フラップ手術は、歯ぐきを小さく開いて(フラップ=歯肉弁)、歯周ポケットの奥に残る歯石や感染した組織を目で確認しながら丁寧に取り除く歯周外科治療です。
歯周基本治療(ブラッシング改善・歯石除去など)だけでは改善しにくい部位に対し、清掃性と炎症コントロールを高める目的で行います。
どんな症状の時に行う治療なのか
目安として、歯周治療後の再評価で
- 深い歯周ポケット(PPD 6mm以上)
が残る - 出血や腫れが続く
- 奥歯などで器具が届きにくく、歯石が
取り切れない
といった場合に検討されます。
また重要なのは、毎日のセルフケア(歯みがき・歯間清掃)が一定レベルでできていることです。
ガイドラインでは、セルフケアが不十分な状態での外科は推奨されない、と整理されています。
治療で期待できる効果は
フラップ手術の目的は「歯を支える組織の炎症を落ち着かせ、再発しにくい環境を作る」ことです。
具体的には
- 歯周ポケット内の感染源(歯石・炎症組織)を徹底的に除去しやすい
- 出血や腫れなどの炎症症状の改善が期待できる
- 部位によってはポケットが浅くなり、日々の清掃がしやすくなる
が期待されます。
歯周外科治療(フラップ手術)の
治療の特徴と流れ
検査・診断
歯周ポケット測定、レントゲン等

歯周基本治療
歯石除去、ブラッシング指導、必要に応じて
咬合調整

再評価
改善度を確認し、外科の必要性を判断。
(深い残存ポケットが対象になりやすい)

フラップ手術
局所麻酔/歯ぐきを開く→清掃・処置→縫合

術後管理
消毒・抜糸・セルフケア再指導

メインテナンス(SPT)
再発予防のための定期管理

歯周組織誘導法(GTR)
歯周組織誘導法(GTR)とは
GTR(Guided Tissue Regeneration)は、歯周病で失われた骨などの組織に対して、バリア膜(メンブレン)を用いて治癒のスペースを確保し、再生を促す考え方の歯周再生療法です。
どんな症状の時に行う治療なのか
深いポケットに加え、以下のような形態に対して再生外科が推奨されています。
- 歯の横に縦に深い骨欠損(垂直性骨欠損)がある
- 奥歯の根分岐部
(分岐部病変:Class IIなど)の一部
治療で期待できる効果
GTRを含む再生療法の目的は、単にポケットを浅くするだけでなく
- 失われた支持組織(歯槽骨など)の回復を
目指す - 結果として、ポケットの改善や歯の長期
安定につながる可能性が期待される
ただし、「患者因子(喫煙・糖尿病・通院継続など)」「欠損形態」「術式」などで結果が変動する可能性があります。
GTR治療の
治療の特徴と流れ
検査・診断
ポケット・レントゲン・欠損形態の評価

歯周基本治療 → 再評価

再生外科(GTR)
- 歯ぐきを開く
- 感染源の除去・根面処置
- メンブレン設置
(必要に応じて骨補填材等を併用) - 縫合(創の安定が重要)

術後管理
安静・清掃方法の指示、抜糸、経過観察

メインテナンス(SPT)
再発予防と長期安定に必須

保険治療と自費治療の
比較

1)保険診療:
リグロスを使った治療(手術+薬)
リグロスは、歯周病で失われた支えを回復させることを目指す再生を助けるお薬です(成長因子成分)。
手術で歯ぐきを開き、奥の汚れをきれいにしたあとに、必要な部位へ使います。
どんな人・どんな状態に向きやすい?
- 歯周病治療を進めても、深いポケットが
残る場所がある - 毎日のセルフケアがある程度できていて、治療後のメインテナンスも続けられる
期待できること
- 奥に残りやすい汚れを取り除いて、炎症を落ち着かせる
- 条件が合えば、歯を支える組織の回復を目指せる
- 結果として、ポケットが改善し、日々のケアがしやすくなる可能性
注意点(デメリット)
- すべての欠損形(骨の減り方)に万能ではない(形によって結果が左右されます)
- 体質・喫煙・糖尿病の状態・歯みがき習慣・通院継続などで結果は変わります
- 手術なので、術後に腫れや違和感が出ることがあります
2) 自費診療:
骨補填材やメンブレンを併用する再生治療(材料で“土台”を作る)
骨補填材・メンブレンって何?
- ・骨補填材(こつほてんざい):
骨が減った場所に入れて、形を保ちやすくする材料(“足場”の役割) - ・メンブレン(膜):
治り方をコントロールするために使う“保護シート”のような材料
これらを使って、再生が起こりやすい「環境(スペース)」を整える治療が、いわゆるGTRなどの再生治療です。
どんな人・どんな状態に向きやすい?
- 骨の減り方が大きい/形が複雑で、そのままだと再生の“場”がつぶれやすい
- 歯の根が分かれる部分(奥歯)など、
難しい形の欠損がある - より条件を整えて、回復を狙いたい
(費用・治療期間も含めて納得できる)
期待できること(目標)
- 欠損の形に合わせて材料を組み合わせることで、再生が起きやすい環境を作れる
- 歯の長期安定につながる可能性
注意点(デメリット)
- 自費のため費用負担が大きい
- 材料を使う分、手術が少し複雑になり、
術後管理も重要になります - “入れたら必ず再生する”治療ではなく、
欠損の形・生活習慣・メインテナンスで結果が変わります
よくある質問
Q. フラップ手術とGTRはどう違うの?
A. フラップ手術は「ポケットの奥を直接見て清掃し、炎症を落ち着かせる」治療。
GTRは「縦の骨欠損や分岐部など、条件が合う場合に“再生”を狙う」治療です。
Q. いきなり外科になりますか?
A. 原則、まずは歯周基本治療を行い、再評価で深いポケットが残る場合に外科を検討します。
Q. 手術ができないことはありますか?
A. セルフケアが十分でない場合は外科が推奨されません。
また全身状態(糖尿病コントロール等)や喫煙、服薬状況によっても判断します。